いきなり感想。
民主主義や人権が統治のための周到なイデオロギーであり宗教であるこの世界では、
オプティミスティックなネット礼讃にはさすがにすえ恐ろしさを感じた。
所詮企業は金儲けのために存在しているわけだし、
インターネットはアメリカが自国の繁栄のために開発したわけで。
その姿勢は株と同様にシロウトを誘き寄せてカモにする、
そんなフラットで開かれたシステムならではのダークサイドにも
スポットを当ててもらいたかった。
とは言いつつ暇つぶしになるから使うけどね。
適確な読後の感想は以下のamazon投稿者と同じ。
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著者はシリコンバレーの現場で長らく仕事に従事していたと言うことで、IT業界のことに熟知しており、グーグル(Google)やWeb 2.0など、ネットの「あちら側」で今現在行われていることやこれから行われるだろうことについて理解することが出来た。
しかし、インターネットに身をゆだねるとか、インターネットの意思に従うと言うグーグルの姿勢に一種の違和感や不気味さも感じられた。
すべてオープンソースにして、インターネットの混沌として玉石混交な世界を振るいにかけて、玉を取り出すと言う手法は、経済学者のアダム・スミス(Adam Smith 1723〜90)の『国富論』に見られる、資本主義の自由放任主義や神の「見えざる手」の原理といったものに似通った感じを受け、安易なオプティミズムの発想に危険性も感じた。
何れにせよ、本書を通じて受ける印象は、インターネットの善性・光の部分に重きを置きすぎて、インターネットの悪性・影の部分を軽視しているといったところであろうか。
不特定多数無限大の一員として、著者の考えに共感を受ける部分もあるが、全面的に賛同しかねる。ウェブ進化論によって経済的な部分も含めて直接的に恩恵を受ける人は、おそらく人類の全体の1割にも満たず、9割以上の人たちは経済活動の基幹部分(本書によれば筋肉系)にこれからも従事し続けるし、また9割の人たちが全く機能しなくなれば、1割に満たない人たちの行っている活動(本書によれば神経系)も「絵に描いた餅」状態になる現実を著者は考慮に入れておくべきだろう。
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