カテゴリ:映画( 72 )
プール
a0081172_1853533.jpg

(ネタバレなし)


先週になるが小林聡美ともたいまさこコンビによる映画3作目の「プール」を観て来た。実はそのちょっと前に鳩山総理も観た「サマーウォーズ」も鑑賞してたのだが、期待値が高すぎて前のめりだったせいで辛口な評価をしている。まあそれは後で触れるとして「プール」はシネスイッチ銀座で鑑賞してきた。郊外のシネコンではなく、映画ファンに支えられた場所で観たかったせいだ。

鑑賞した印象はなんともまったり、ゆっくり。日本の映像コンテンツの画面切り替えの早さ、めまぐるしさに対する醒めた視点を感じさせた。そして極力演出を排し、ムリにしゃべらないし、BGMも少ない。ただ、そのせいでなんとなくもやもやとした不安がずっとあり続ける。ぶっちゃけ映画監督としての力量も技術もお粗末。ストーリーや設定より佇まいとか空気感、間みたいなものを表現したかったのだろうが、それさえも焦点がぼけぼけではっきりしない。原作を読んでなかったら何がなんだかという感じだろう。皮肉になるがあまりの心地よさにいびきをかいて寝てしまう人もいた。

でも自分がこの映画から得た教訓は大きい。それはゼロ年代は自分らしく生きるのになんて大変な時代だったのだろうという問題意識から来る。人々は膨大な選択肢から自分の意志で自分の好きなものだけを選び、自分らしく生きているように思いながらも、それ自体が雑誌やメディアに躍らされていたことにも一部の人々は薄々感じはじめていた。本当の自立とはなにか、本当の自分とは何か、これまで誰も指摘してこなかった真実がこの映画には隠されていると思う。女を磨くこと、結婚すること、子供を育てること、それを拒否しても人は生きて行かなければならないのだ。しかもとびきり自分らしく。そんなこと不可能にも思える息苦しい日本の全ての人に観てもらいたい、そんな感じだろうか。

ちなみに「サマーウォーズ」は「プール」同様“人と人との繋がり”をテーマに掲げながらも、自立をうたってなかった部分がなんか違うと思った。保守勢力に利用されそうな危うさを感じたのだ。そんなにベタベタする必要あるのか? 家族ってそんな大事? 個人のほうがもっと大事なんじゃない? 日本で個人主義は本当に根付いてるの? 家族とか言い出すのはその後じゃない? そういう気分だったので違和感があっただけなんだけど。

オフィシャルサイト

大森美香監督インタビュー

ボクらの時代(09/9/6放送)
[PR]
by skdob | 2009-09-28 17:55 | 映画
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 鑑賞
a0081172_1341826.jpg

(一部ネタバレ的な表現はあり)


一昨日渋谷のシネセゾンで観て来た。感想はとにかくヤバかったDEATH。
“序”よりも技術とかデザインとか演出的な部分でより洗練されてたので
庵野さん的には一切妥協の無い仕事をしたと思う。特に使徒は
ラミエル(前作に出て来た正八面体の青い奴)以上のイカれ具合。
その後当然のように居酒屋でヱヴァ談義に流れ込んだが
鑑賞2回目の熱烈なエヴァファンにはあまり受けが良くないことが判明した。
それは宮台氏も言ってることだけどアニメ版よりも人物描写に割く時間が短いから
ということみたい。たしかにそうだと思うけど、だったらあえて時間の無い中で
新キャラのマリを登場させたのはどう説明すればいいのか謎が残る。
これはあくまで自分の解釈だけど、マリのような内面的葛藤を克服したキャラ
によって、ウジウジしてたアニメ版人物ドラマを否定的に描いてるのではないかと。
そんな気がした。結末に関しても夢オチだろうとか、いろいろ激論があったけど、
アニメ版で放置されたさまざまな謎に答えていく方向で進む気がしてならない。
そしてアニメ版25、26話での「おめでとう」も、夏エヴァの「ぎぼぢわるい」も
越えたもっと哲学的な葛藤、人類が普遍的に直面してる問題に答えて行くのでは。
2年後がめちゃくちゃ待ち遠しい。
[PR]
by skdob | 2009-07-10 13:04 | 映画
ヱヴァイベント
a0081172_14514024.jpg
a0081172_14514049.jpg
a0081172_14514065.jpg

土曜日は歌舞伎町のヱヴァイベントに行ってきた。
まだ映画自体は観てないんだけどね。
情報シャットアウトするのが大変になってきた。。。
[PR]
by skdob | 2009-06-29 14:51 | 映画
Drag Me to Hell
a0081172_20334512.jpg
a0081172_2034797.jpg

“死霊のはらわた”や“ダークマン”でカルト作家としての地位を築き、
“スパイダーマン”でついに表舞台に立つことになった天才サム・ライミが
再び爆笑ホラーに戻って来た模様。やっぱこの人は信用できるね。
またあのユーモアとペーソス入り乱れるサムテイストで泣き笑いできるなんて。
予告編のトレイラーと町山智浩のアメリカ映画特電の語りをリンク。

Drag Me to Hell Trailer 2009

第83回『ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル』私を地獄に連れてって
[PR]
by skdob | 2009-06-24 20:34 | 映画
カポーティ
a0081172_14291074.jpg

(ネタバレなし)



“ティファニーで朝食を”などで有名な奇才文学作家トルーマン・カポーティの
“冷血”を書き上げるまでの6年間を追った実話を元にした作品。2005年作品。
内容は農家の一家4人が惨殺された事件に目をつけたカポーティは、
これを題材に小説を書くことを思いつき、逮捕された殺人犯にアプローチしていく。
カポーティはアンディ・ウォーホルに熱烈崇拝されてた人で、それで人物像はだいたい
想像つくとは思うけどフリーキーでサディスティックかつイノセントでナイーブ、
要は典型的なNYのユダヤ人ゲイで(ちょっと語弊があるか。。。)、
人として最悪だけど、傍で見てる分にはかなりエキセントリックな人。
そんなカポーティの冷酷で倒錯的でバカ正直な素顔が垣間見えて興味深かった。
映像がとても美しい。☆☆☆☆☆。ウォーホル好きは☆☆☆☆☆☆。

オフィシャルサイト
[PR]
by skdob | 2009-05-11 14:34 | 映画
映画3本
(ネタバレなし)


やっと2週間の埼玉監禁が終了。週末は休めたけど毎日平均睡眠時間は5時間だった。
そんなわけで出所祝いとして土日でTSUTAYAメンズ割引を利用して3本、「トウキョウソナタ」と「コーヒー&シガレッツ」と「グッド・ウィル・ハンティング」を借りた。


a0081172_13565922.jpg

まずは日本が誇るミスター・シネフィルの黒沢清監督作品「トウキョウソナタ」。キョン2が主婦役で出演してて個人的に超期待作だった。はっきり言ってここまでタイムリーな話をぶつけて来たのは映画界で初めてかもね。一家の主としての権威に固執する香川照之役の夫が会社をリストラされ、仮面サラリーマン生活が始まるあたりから家庭は徐々に崩壊して行く。そんな中我慢強く家庭を守ろうとするキョン2演じる主婦の悲壮感は「空中庭園」での役どころとややオーヴァーラップする。前半はそんなありがちな『破壊』の物語なんだけど、後半にはしっかり『再生』が用意されており、一家離散系のオチに持って行かないあたりが「空中庭園」へのオマージュを感じずにはいられなかった。途中ゴダールやトリュフォーやレオス・カラックスらヌーベルヴァーグの引用を挟みつつ、次男による強烈なカタルシスをもたらす最後は必見。井川遥も良かった。品川とかの撮影ロケーションも良かったしめちゃくちゃ感情移入した。これが東京のリアルだ。黒沢作品では「アカルイミライ」に匹敵するくらいの満足な出来。文句無しで☆☆☆☆☆。

トウキョウソナタ オフィシャルサイト


a0081172_13571255.jpg

「コーヒー&シガレッツ」は久々のジム・ジャームッシュ作品。とにかく好きな感じだった。ユーモアやウィットが効いてて、最小単位の人間が向き合うだけでそこに無限の世界が生まれるという、ジムのミニマリズム哲学が極限まで生かされた秀作。気楽にコーヒー飲みながら楽しめた。どんな場所でも構わないから人と人が向き合い語り合う、それってけっこう贅沢なことなのかも。☆☆☆☆

コーヒー&シガレッツ オフィシャルサイト


a0081172_13571856.jpg

「グッド・ウィル・ハンティング」は先日借りた「パラノイド・パーク」が大当たりで、今公開中の「ミルク」が話題騒然のガス・ヴァン・サント監督の10年前の作品。撮影監督は大大大好きなレオス・カラックスの「ボーイ・ミーツ・ガール」ら初期3部作を撮ったジャン・イヴ・エスコフィエという最強布陣。ストーリー的には、ハーバートやMITらエリート大学地帯のボストンを舞台に、スラム出身の不良だけど超天才児が自分の過去を受けいれ、対峙し乗り越えて行くという感動物語。これはボストン出身のマット・デイモンと幼な馴染みのベン・アフレックが若き日からずっと温めてきた脚本らしく、アカデミー最優秀脚本賞も納得の素晴らしい出来。見どころはマット・デイモン演じるニヒリスティックな超天才児の心を開こうと奮闘するロビン・ウィリアムズ演じる下町生まれの天才精神科医との心温まるバトル。コンプレックスやトラウマは成長する上で誰にでも経験する問題であり、これは全ての人が自分のこととして感情移入できる最高の物語だと思う。☆☆☆☆☆

Yahoo映画
[PR]
by skdob | 2009-04-27 13:57 | 映画
映画3本
(ネタバレなし)


週末は「おくりびと」と「SEX & THE CITY」と「ハンコック」をレンタル。
他も借りたけどたいしたこと無い奴はわざわざ書くのが面倒なので黙殺。
3本のつき並みな感想をば。


a0081172_18105076.jpg

まずはアカデミー外国映画賞受賞も記憶に新しい「おくりびと」。
全然関係ないトピックだけどアカデミー外国映画賞のプレゼンターだった
リーアム・ニーソンの奥さんが先日スキー事故で亡くなってしまい、
彼は本当におくりびとになってしまった模様。ちょっと不吉。
映画の内容的には噂通り面白かった。観なきゃ損損の大プッシュ。
演技も脚本も演出も舞台美術も日本が誇れる作品だと思う。
宗教の垣根を越えて対応しているというくだりで普遍性を獲得したのかも。
でもピーター・バラカンが脚本の小山薫堂に突っ込み入れてたけど
納棺師なんて職業本当に必要なの?という素朴な疑問も確かに納得。
☆☆☆☆☆


a0081172_1811272.jpg

SEX & THE CITY」はずっと日本語吹き替えの音声に慣れてたせいか、
いきなり英語をしゃべる4人に違和感。特にキャリーは想像上のキャラと違い過ぎ。
歳甲斐も無く森下千里みたいな小悪魔路線の猫なで声にびっくり。
まあそんな笑えないエピソードもありつつ、話としては「プラダを着た悪魔」同様の
バブリーでジコチューで見栄っ張りな態度を戒めるような普遍性があった。
リーマンショック後の今だからこそ誰が観ても楽しめる作品になってると思う。
☆☆☆☆


a0081172_18115364.jpg

最後「ハンコック」は迷走するハリウッドを象徴するかの意味不明娯楽アクション。
作品としての質とか以前に設定の説明も腑に落ちないまま物語は進んで行く。
例えばこれの主役がウィル・スミスじゃなかったらと考えると末恐ろしい。
ゴールデンラジー賞ノミネート最右翼映画になったような気がする。
アメリカ人の遺伝子レベルでのヒーロー待望に呆れつつも妙に
何が言いたいのかメッセージが分からない奇妙さが印象として残った。
☆☆
[PR]
by skdob | 2009-03-30 18:12 | 映画
邦画3本
(ネタバレなし)


寝たきり期間中に何本もDVDレンタルした中からお薦めできる邦画の紹介。
3本とも妙に鬱々とした印象だったけどある意味リアルだった。


a0081172_16332379.jpg

まずはキョン2と上野樹里が出てて音楽は細野晴臣といったら観ないわけにはいかない
グーグーだって猫である」。個人的に飼ってた猫が急死するという出来事があった
ばかりなのでかなり感情移入してしまった。舞台は漫画家の“聖地”吉祥寺。
ただキョン2が内向的というかあまり積極的にしゃべらない売れっ子漫画家の役
だったのであの口の大きさにちょっと違和感があったような。。。
あと脇をかためる上野樹里と森三中の無邪気な演技と加瀬亮の乙女受けしそうな
強引な役柄が漫画の世界のようでいまいちリアルじゃなかったような気がする。
猫好きか吉祥寺マニア、それから細野フリークにしかお薦めできない映画かも。
☆☆☆


a0081172_16334840.jpg

次は“日本映画界のガス・ヴァン・サント”こと橋口亮輔の「ぐるりのこと。
2008年邦画ナンバ−1と言われてただけのことはある傑作。
橋口自身がうつ病にかかってしまった経験をベースにしているらしい。
後半で個人的に清々しくハッピーな感じになっていったので救われたが、
ぶっちゃけ途中けっこう辛くなってきてどうしようかと思ったくらいリアル。
周りに統合失調症や鬱の人がいないという人はもういないと思うので、
リリー・フランキーの対応の仕方はぜひ学びたいと思った。
評論家的には彼の映画人生の集大成的なことを言いそうだが、なんとなく
自分が好きな橋口らしさがなくなってしまったような気がしなくもない。
☆☆☆☆


a0081172_16364475.jpg

次は個人的に才能があると思ってる蒼井優が現実逃避をし続ける内向的な
21歳という難しい役柄を熱演する「百万円と苦虫女」。自意識過剰な人には
このクールで控えめな演技はできないと思うのでその引き出しの多さに驚く。
この映画は誰もが陥ってしまっている膠着状況を具体的に指し示すとともに、
そこからの突破方法を提示してくれる意味で、極めて現代的なものを感じた。
ゲームやラノベ的に“なんども人生リセットできたら”願望を粉々に砕いてくれる
最上の処方箋とでもいうべき画期的一品。
☆☆☆☆
[PR]
by skdob | 2009-03-23 16:37 | 映画
映画3本
a0081172_1933416.jpg
a0081172_19331079.jpg

(ネタバレ軽くあり)



TSUTAYA半額セールだったので準新作3本借りて観たのでテキトーに感想なんぞを。
全部良かったけど「ダークナイト」はやっぱり評判通りだった。
世界中で唯一日本だけウケなかったのは、「主人公が金持ちのボンボンで、
趣味で正義の使者やってるところに感情移入できないから」と村上隆は語っていた。
つかそうじゃなくて、早い話がデートで観に行くにはキツいってだけでしょ。
ヒロインがいきなり爆死する展開には爆笑したんだけど。慣例的にはありえなすぎて。
後味悪い哲学とかサイコ入っちゃうと今や日本人にはキツいのかもね。
この長さといい、小気味いい展開といい、とても生真面目な作品という気がする。
☆☆☆☆☆

「ハプニング」はミストっぽい感じ。みうらじゅん的に言うと”It's 不安tastic!!”
最近は異様に多いね。なかなか気持ち悪いシュールさがあって良かった。
例えるなら、いつも仲良くしてたグループが自分以外みんな○○学会だった
ことが分かった瞬間のあの感じを想像してもらうと伝わるかな。
とにかく今ハリウッドでは”It's 不安tastic!!”系が大流行りということで。
☆☆☆☆

「歩いても 歩いても」は「誰も知らない」の是枝監督作品。
またYOUがいい演技してる。樹木希林もどこにでもいるおせっかいな
おばあちゃんがハマリ役。とにかく舞台が三浦半島の先っぽの町という設定で、
都会でもなくド田舎でもない部分が誰でも感情移入できる秘訣かなと思った。
演出過多、心理描写過多の昨今のドラマや映画にまた一石を投じる作品だった。
☆☆☆☆
[PR]
by skdob | 2009-03-16 19:34 | 映画
20世紀少年 第一章
a0081172_1372582.jpg

「モンスター」までは読んでたけど「20世紀少年」は原作を読んでなかったし、
あらすじも一切聞いてなかったのでそこそこ楽しめた。
映画版はIWGPやケイゾクやquizをはじめ、背筋が凍り付くような演出させたら
右に出るものはいない堤監督の起用で正解だったように思う。世界観が近いし。
ただ後半は怪獣映画やハリウッド冒険活劇みたいな展開にやや萎えたが。

“ものを考えない、考えたくない病”に汚染された戦後日本では、
カルト新興宗教やマルチ商法、セミナー系などの洗脳に対する
免疫の低さがあちこちで見受けられるが、メディアや芸能界、
政界まで広がりを見せるその目を覆いたくなるような現状は
まんま現代日本そのものであり、痛烈な風刺になっている。
☆☆☆☆
[PR]
by skdob | 2009-03-03 13:08 | 映画